日本人は投資をしてこなかった、のではなく|する必要が薄い社会だっただけかも

だとすれば、今は必要性に任せてもう少し学んでやれば良い。何も生活の全てをかける必要はない。家の500円玉貯金箱にお金を入れるように少しずつ始めて続けるだけだ。毎日、歯を磨くように。毎食食事をとるように

日本人は投資をしてこなかった、と言われるけれど

実際、欧米圏の人々に比べると、資産を預金や現金として持つ割合が高いそうだ。日本銀行の資金循環統計(2025年8月公表の日米欧比較)によると、家計の金融資産のうち現金・預金が占める割合は、日本が51.0%、米国が11.5%。逆に株式等は日本12.2%に対して米国41.5%。投資信託を足すと、日本は約18%、米国は約55%になる。やはり比べても、無リスク資産の率が高く、手元で管理することが多いように感じられる。タンス貯金、なんて言葉もあるし。

会社が守ってくれるなら、自分で備える必要が薄い

日本の労働者の環境も、切られる危険性が薄いために、自分自身の資産を市場に晒してリスクをとり、いざという時の備えにする、という考えがあまりないのではないかと思う。

長期雇用・年功賃金・退職金・企業年金・社会保険。会社に長く勤めること自体が一種の社会保障になっていたと考えると、会社が守ってくれるなら、自分で備える必要が薄く、それまでに資産を市場に晒していない状態で失われた30年を迎えたら、そのままリスクを取らないことがリスクでも、新たなリスクを抱えようとは思えないのも理解できる。

学ばなかったのではなく、学ぶ理由が薄かった

また、自身で金融知識をつけるリソースを割こうとすると、会社に割ける時間が減り、そこでの自分の稼ぐ力を発揮しにくくなる。経済的な仕組みについては義務教育でも習うけれど、実地の経験や結びつけは弱いと感じる。だからしなかったのではないかと思う。

労働者としての自分と、資本を持つ自分が同じ人間の中に共存できること。説明はされてはいるのだけれど、自分ごとには結びつかないままだった。

むしろ、長期投資に向いている気がする

むしろ日本人には投資は向いていると感じる。特に長期運用は。

確かに会社に長く勤めること自体が一種の社会保障になっていたと考えると、同じく長く運用するのに向いているのでは?長く勤めて得られた収益を少し振り分ける先を変えるだけで良い。「長く続ける」は得意技ではないだろうか?

会社に人生を預けるのをやめる、ということ

昔は会社に人的資本を集中→預金+社会保障でリスクを吸収していた。

ここ30年は終身雇用の弱体化・年金への不安・ここ数年でのインフレ・NISAの整備が進んでいる。これからは長い平均寿命を生かして人的資本+金融資本を生活防衛費と投資などの流動的な資産に振り分け+社会保障の3本柱にすると良いのだろう。だって、大学を卒業し国民年金を受け取るとしても65歳まで42年もあるのだ。チャンスを活かさないなんて勿体無い。

もちろん投資にリスクはある。バブル崩壊によって投資はギャンブルと思われたのはあまりに資産を振り分けすぎたのだろう。冒頭にも書いたように毎日歯磨きを続けるように、淡々と続けることだ。毎日歯磨きをして、ケアしていても、虫歯になることはある。放置せず治療すれば良いのだ。暴落が虫歯なら、丸ごと引っこ抜く(その場で損切りする)のではなく虫歯のところを削って埋めてメンテナンス(資産配分が正しいか確認)すれば良いはずだ。

人は衰える。けれど元手が少なくても、42年——人が成人するのに必要な時間の2倍——もあれば、自分をもう一人分ぐらいの稼ぎが作れるのではないだろうか。

※関連:個人の経済基盤は大事。さち福やカフェが変わっていた|インフレと投資と、つらつら

※2026年8月時点の私個人の考えです。投資を勧めるものではありません。データの出典:OECD「Employment Outlook 2026」(2026年7月)、日本銀行「資金循環統計」(2026年1〜3月期)。

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